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「たとえ僕や吉川くんのような若造でも、そんな簡単に馬鹿な事はしませんよ。男を見誤らないで下さい。男がみんな、佐竹さんのような女性になびく訳じゃない」
高梨さんはピクリと肩を震わせ、「ごめんなさい」と謝った。
「好きでもない異性をベッドに誘うのは、男の専売特許じゃないです。女性にもそういう人はいます。佐竹さんのようにね」
高梨さんは、ストローを掴んだまま黙って聞いていた。
「で、高梨さん。貴女はご主人と佐竹さんを許せますか?」
「私は……」
「私は?」答えを促した。
「私は、許せません。許しません」そう言って、高梨さんはぽろりと涙をこぼした。
「わかりました。僕も決心がつきました」
高梨さんが顔を上げて僕を見た。僕も彼女の目を見た。
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