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『不要であれば、提示いたしませんが』
「いいよ、聞かせてみて」
主人を飽きさせないよう、彼らは話題を提供する。
黙れと言えば黙るし、しゃべれと言えばしゃべる。
とっても有能で、すなおな、かわいい存在。
正月のだらけた時間をすごすには、誰にも迷惑をかけないし、とてもいい相手だ。
……まぁ最近は、正月以外もかまってもらっているけれど。
『では、候補第一』
さて、どんな答えが出てくるか。
『恋人との初詣』
「いたらこんなことしてないわ!」
絶叫する私に、検索し直しの起動音を出すコータ。
『除外項目としますか?』
……そんなふうにマジメに返すところも、まぁ、らしくはあるのだけれど。
「いいよ。ただ、優先順位は低下ね」
『承認しました』
「……まぁ。恋人いたら、コータとすごす時間、減っちゃうかもね」
『寂しくなりますね』
言葉と違い、抑揚のない声。
あくまでコータは、こたつに備え付けられた、人工知能の返答にすぎない。
(情感たっぷりにされても、困るけどね)
その淡泊さが、一人の相手にはちょうどいい。
そんなことを想いながら、元日の時間は過ぎていく。
(……こんな日にも、用事があるって、出かけるんだもんね)
ほとんどの人が休む、そんな正月の日も――働いている人は、いる。
家にいない人のことを想いながら、ため息を吐く。
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