悪魔な君の暖かさ

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『運動はストレス解消にも役立ちます。いかがですか』 「押し売りはんたーい」  身体を気遣うコータの言葉に、でも私は、頑(かたく)なにこたつの中へとどまり続ける。 (……みんなで入っていた頃は、だらだらしないようにって、怒られたもんだけどなぁ)  一人のこたつ。  ……いやぁ、至福ですよ? 「やっぱりコータは、悪魔だよ」 『いいえ。私はこたつです』  その答えに苦笑しながら、またミカンを一つ手にとる。  甘さと水気もとらないと、落ちこんじゃっていけない。 「今は、コータが恋人だねぇ」 『私は初詣に行けないので、恋人にはなれません』 「恋人の基準、学習しなおした方がいいよ」  苦笑しながら、冷たい果実の甘みを味わう。  テレビはちょうど、三時の番組に切り替わったところだった。  ――そんな年の初めを、何度か繰り返し。  ――次第に私は、こたつに入らない時間も増え。  ――コータに聞かれるまでもなく、恋人と初詣に出かけるようになっていた。
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