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第1幕 「通り名はブラック 名前は知らない」
もう何日も雨が降ってない。
この炎天下では手持ちの飲み水を切らした時点でゲームオーバー。
それは人間でもそうでない者でも、生き物であるなら覆らない真実だ。
「クロードぉ。もう喉がカラカラで死ぬるぅ。水ぅ。水をくれぇ」
「黙れ。大事な水を全部飲んじまったのは何処のどいつだ。我慢できねーならテメェの小便でも飲め、糞野郎」
バイクを運転しているイカしたゴーグル男のクロードは、サイドカーでへたっている少年に悪態をつきながら荒野の上をバイクでかっ飛ばしていた。
これまで目的地の無い旅を数年共にしてきているのに、いつまで経っても学習しない相棒にクロードは今にもコートの中にしまう拳銃を取り出す寸前のとこまでキレていた。
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