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ギオの2色の目と私の、2色の目が合った。渡すものかと睨み合う。漫画やアニメでよくある、間で火花を散らすような。
睨み合いの冷戦状態がしばらく続き、ようやくシャオリンが口を開いた。
「ギオ、本当に僕を殺さないんだね?」
「愛する者を手にかけようなんて思わないよ。愛しすぎて殺しちゃう可能性は、ゼロじゃないかもだけどね」
「…………セイフォン。お前が僕をそんな風に見ていただなんて砂漠の砂一粒とも思わなかったよ。でも、その想いはよくわかった。ありがとう」
「シャオリン、じゃあ私を選んで――」
落ち着いている。私達が本気だと理解できたらしいシャオリンは本気で考え、私達をジッと見つめる。人生最大のモテ期だな。
変態プラス、まだ殺しの可能性があるギオ。私に対しては柔らかな微笑みを向けてくれた。よし、確定だな。
勝利を確信し、どうだと笑ってみせる。ギオは、そんな私に気付かずまだ真剣にシャオリンを見つめる。
ん?なんか、どことなくシャオリンの体から殺気がじんわりにじみ出ているような。ピリピリしてきたぜ。
顔を下げたシャオリンは大きく息を吸い込み、一旦止めて、ゆっくり長く吐く。それをもう2度繰り返した。
「僕はリアが好きだって、本気で愛しているのに。何でそう勝手に話を進めるわけ?僕がネコだとか決めつけるなよ。僕はリアを諦めない。だから………………お前ら2人とも、大っっっっ嫌いだーーーーっ!!」
シャオリン渾身の叫びが、静かな山の中に響き渡った。もしかしたらリア達のところまで聞こえたかもな。
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