アイデンティティ

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「マリアンはもう1人じゃねぇ、俺だけでもねぇ。俺の兄貴が、ジャックが、他にもたくさんの奴らが受け入れてくれるさ。なんなら挙式でも上げるか?」 「き、挙式!?そこまでしなくていいわっ…………結婚は、したいけど」 「なら婚姻届けを書いて挙式を上げるぞ。書くだけだ、役所に届けはしねぇよ。形式だけで、夫婦の契りを交わしてしまえば俺達は晴れて夫婦になれる」 「夫婦……嬉しい。すごく嬉しいわ、ノルウェムっ!大好きっ!」  婚姻届けも挙式もいたって本気だ。組の再結成が済んだらすぐに手配してやる。それまでソワソワして待ってろ。  一瞬ポカンとしていたマリアンは俺の言葉の意味を理解。途端にバッ!と抱き着いてきて……痛い、苦しい、力が入り過ぎだ!  咳き込むと力を緩めて、仕返しと言わんばかりに俺も力一杯抱きしめ返す。  すげぇブンブン振る犬の尻尾が見えるようだな。嬉しいって気持ちが伝わってきて俺も嬉しくなる。  ほら、お前はそうやって笑っていろ。腰の痛みも忘れて俺に飛びかかってきたからな、支えきれなくて尻餅をついたじゃねぇか。  でもそんなマリアンが可愛くて、愛しくて。優しく名前を呼んで、見つめ合って、唇を重ねる。 「…………あっ!今思いついたんだけど、新しい組の名前ってさ――」
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