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「あの頭らしき女が普通の女なら、俺が真っ先に頭を撃ち抜いているさ。だがあの身のこなしと仲間との連携。それにあの――」
ドォォォンッ!!と爆音が轟き地面が大きく揺れた。
…………なるほどな。アランがわざわざ、寝ている俺のところに来た理由がわかった。
おいおい、地面にクレーターができたぞ。アランが指さした、組頭らしき女が振り下ろした日本刀が地面を陥没させている。
どんな超怪力なんだよ、人間離れしすぎてんだろ。ほら、なんかわかんねぇけどクレーターから白い煙みたいなものが見えるぜ。
女の部下もただ者じゃねぇ。常人には見えるはずがねぇのに、あいつらは飛んでくる弾丸をしっかりとその目に映し、斬っている。
こめかみを冷たい汗が流れた。この俺が冷や汗か。
他のチンケな組と違って銃の扱いに特化した精鋭ばかりを集めた俺の組。が、確かにこれでは部下だけでは心もとない。
顔を出してやるか。溜め息を吐くと、超怪力の女が顔を上げた。こいつ、俺がこの部屋にいるのを知っているのか?
刃こぼれすらしていない日本刀を握る彼女はギンッと赤い瞳で睨みつける。真紅の炎に揺れる鋭い瞳だ。
大半が怒り、少しの恨み、わずかな悲しみも感じる。彼女は空いている左手を上げると人差し指で左目の下を押さえ大きく舌を出した。
俗にいう、あっかんべー。挑むように、俺に見せつけた彼女は満足げにニヤッと笑いやがった。おまけに中指を立てて。
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