危ない熱情

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 頭がガンガンする。まるで二日酔いみたいだ。 「なぜ止めたって怖い顔で睨んでもだめだよ、ノル。今ここでお前に壊れられるわけにはいかない。あのまま無理を続けていたら脳が耐えられなくなって、障害になったかもしれない」  小部屋から出た俺は仕事部屋――書類やらなんやら表向きの仕事をする部屋――に戻って、今日中に片づけなければならない書類と向き合う。  アランが手伝ってくれると、書類の山の半分を手に自分のデスクへ。さすが、足を負傷しているとは思えないくらいしっかり歩けているな。 「大げさすぎる。お前が止めなければ記憶が戻っていたかもしれねぇだろ。余計なことすんじゃねぇ」 「だめだ。お前はいつも頑張りすぎる。俺の役目はそんなお前を止めて休ませることだ、嫌われてでもな」  過保護すぎるんだ、アランは。兄貴のくせに母親かってくらい俺をよく見ているし。  一体どこから取り出した?アランから渡された頭痛薬を飲んで書類に目を通すが、内容が頭に入ってこない。文字の羅列を見ているだけだな。  まぁいいかと、適当に判を押していく。ほとんどの書類はアランが確認した後のものだから、俺は目を通して判を押すだけで十分だ。  何せ難しい漢字が読めないからな。子供の頃からこの世界にいたらしいし、勉強はからっきし。 「……兄貴はあいつのことをどう思う?俺には、胸糞わりいが本当のことを言っているように聞こえたぜ。正直、生かすか殺すか迷っている」  書類に集中できない。どうしてもリアのことが気になって、あいつの表情や声、言葉を思い出す。
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