女暴君襲来

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「アタシは本当に最強だからいいのよ。あんたこそ最強を名乗るんじゃないわよ、このネボスケ。あら、この前隣の組を潰してあげたっていうのにまだアタシ達のことを知らないなんて、耳が遅いわねぇ?遅くまでグゥタラ寝てるからかしら?」 「……好き勝手言ってくれるが。まだ朝日も昇り始めたばかりだ、普通は寝ている時間だろうが。テメェが早すぎるんだぜ、この早起きクソババァ」  キレてはいない。こんな安い挑発に乗るような俺じゃあないしな。とりあえず、売られた喧嘩は買うが。  つい最近、隣のシマの組がわずか1時間で壊滅に追い込まれたという話は聞いた。バケモノじみた組が襲撃したと。ただ、命を落とした者は誰もいない。  この闇の世界で死傷者が出るのは当たり前。相当ハデな襲撃だったらしいが、それでも死亡者が出なかったということはこの組頭、甘いな。 「思い立ったが吉日。潰したいと思ったから来たまでよ。さぁ、おしゃべりなんていいからさっさとこの土地を渡しなさい!」 「馬鹿が。そんなにこの土地が欲しければ俺を――俺達“Death Bullet”を倒して奪うんだな。まぁ、天変地異が起こらねぇ限りテメェらには不可能だろうが」  巷で“DB”と呼ばれる“Death Bullet”は俺達の組の名前だ。死の弾丸。  銃のみを扱う精鋭部隊。中でも俺と俺の側近のアランは並外れた命中率を誇る、名高いガンナー。俺の弾丸は必ず相手の未来を奪う。  自慢しているわけでも過大表現しているわけでもない、それが事実。
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