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って失礼よね。だけどいつもはどんなことがあっても笑顔で場を明るくしてくれる彼が、明るい茶色の眼が鋭い。
まるで道路の先に彼が嫌いな若いギャルがたむろしているのを見つけてしまったような、舌打ちをして聞いたことのない悪態を吐きそうな、そんな顔。
何かあった、のよね。これは確実に。
「…………そのギオって男が去っていくのを見たよ。すごい運動神経してた。筆頭に手を出したからDBの、ノルウェムの怒りを買った彼はDBの皮を被ったスパイかもね」
あえて何があったのかは聞かないでおこうと思ったのに、そんなことを言うってことはギオが関係あるのね。
DBにスパイかぁ。アタシ達が襲撃に来た時にも女のスパイが発覚したらしいし、この界隈でトップに君臨しているDBの危機だわ。
しっかりしなさいよノル。って、アタシが1番彼を困らせているんだったわ。他の、DBを狙う組に負けて土地を奪われちゃったら許さないんだから。
昔ノルの実家があったあの土地を奪うのはアタシ。それまでに彼がアタシのことを思い出してくれればいいんだけど。
「うわぁっ!?な、なになに?」
「すみません。事故って道が塞がってるんで遠回りするよ。ちょっと飛ばすから、そのまま伏せてしっかり掴まっててね」
突然の急ブレーキののちのUターン。すんごい遠心力で座席から落ちたアタシは起き上がることもできなくて、言われるがままシートにしがみつく。
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