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シャオリンは片手で素晴らしいハンドルさばきを披露しなから、もう片方の手で電話をかけているわ。
どこを通ってるの、ものすごくガッタガッタ揺れるんだけど!?この車、普通の乗用車よね?大丈夫なのかしら。
「エマだ。今すぐ36251に来い。筆頭を向かわせる。あー、グダグダ言うな、エマだって言っただろ。じゃあ、頼んだから!」
超珍しく荒い口調ね。誰との電話だったんだろ、シャオリンがここまで砕けられる人はうちにはいなかったと思うんだけど。
というか、エマって何?36251ってどこ?まるで謎の暗号ね。
と思ったらまた急ブレーキ。頭打ったわよ!今度は何よ?舌を噛まないように、頭を打たないようにするので精いっぱいだったから窓の外を見ることもできなかったわ。
「DBとは別の追っ手です。悪いけど筆頭はここへ自力で行って、僕の仲間がすぐに来るから。チッ、もう来た……時間ないんで、僕はもう少しカーチェイスしてくるよ」
「え、まっ、ちょっと!?何、シャオリン――」
赤ペンで丸い印がつけられた地図をアタシの手に握らせたシャオリンは、あろうことかドアを開けるとアタシを引きずり出して放置。
バンッ!とドアを閉めてそのまま、猛スピードで走り去っていく車の後ろ姿をただ呆然と眺めることしかできなかった。
直後、1台のバイクが後を追って行ったわ。あれが追っ手?全身黒のライダースーツに身を包んで、黒のヘルメットをかぶった黒い男。
猛スピードで一瞬しか見えなかったんだけど、やや高身長な細身だったと思う。で、腰に銃が見えたわ。
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