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ここはどこかの花畑。見渡す限りの花畑。辺り一面に咲き誇る、色とりどりの花たち。
―私はいつからここにいるのだろう。足下に咲く黄色い花に聞いてみた。返事を待つ間、どこからかそよ風が吹いてくる。色とりどりの花吹雪。黄色い花の花びらは、その中に混じってどこかへ行ってしまった。
そのあまりの美しさに、私はさっきの質問のことなど忘れていた。
―私はどうやってここに来たのだろう。ひらひらと舞う青い蝶に聞いてみた。蝶はほかにもたくさんいる。そこのピンク色の花にとまっている白い蝶。赤い花には黄色い蝶、橙色の花には紫色の蝶が。それだけでなく空中には何頭もの蝶がふらふらと浮かんでいる。
しばらくして私は、青い蝶を見失っている、そのことにすら気がつかなかった。
―この先はどうなっているのだろう。地平線の果てまで続く花畑。風が吹くたび花びらは舞い、七色の渦が私を包み込む。花がいくら散ろうとも、その下には次の花が咲いている。―飛んでいった花びらはどこへ行くのだろう。私は一歩踏み出した。たくさんの花を下敷きにして、それでも私は前へと進む。風が吹き、花びらが追い越し、横切り、通り過ぎていく。延々と続く花の道。
それでも私は歩みを止めなかった。
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