レプリカ

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「おーい。恥ずかしがっていないで早く出てきてごらん」  そう言われてようやく男の子は二人の元へ駆け寄ってきた。近くで見ると余計に違いはわからず、本当にキッドをそのまま映しているかのようだった。 「どうだい、キッド。私が作ったロボットは」  キッドは驚きのあまり言葉も失いかけていた。 「・・・すごいよ。本当にロボットなの?」 「ああ、ロボットさ」 「ぼく、博士のことを見直したよ。本当にぼくにそっくりだ」  そう言われて博士は機嫌を良くしてしゃべり始めた。 「どうだ、良くできているだろう。このロボットはね、君の頭脳、身体能力、性格、見た目、すべてにおいて君とそっくりにできているんだ。もう一人の君がいると思ってくれたらいい。君にこの子の友達になってもらおうと思ってね。どうだい仲良くやっていけそうかい?」 「もちろんさ。ありがとう博士」  キッドは目を輝かせて言った。 「そうだ博士。この子、名前はなんて言うの?」 「名前?キッドじゃいかんのか」 「嫌だよ、自分の名前で呼ぶなんて」  博士は困ってしまった。博士は子供に名前を付けた経験がなかった。 「うーん。そうだな・・・じゃあ、レプリカなんてどうだろう。この子にぴったりだとは思わんかね?」 「うーん。まあ、それでいいか。よろしくね、レプリカ」  あまり納得がいかなそうであったが、キッドは嬉しそうにその名前を呼んだ。 「うん。よろしく」  それに応えるようにレプリカも笑顔で言った。  キッドとレプリカはそれから毎日のように二人で遊んだ。木登りをして競争したり、二人で野うさぎを追いかけたり、知らない道を探検した。特に二人のお気に入りだったのは魚釣りだった。森の中にはあまり人に知られていない場所があった。二人はそこで一日中過ごした。一人なら心細くなっても隣を見ればレプリカがいた。それだけでキッドは嬉しくなった。ほかの誰も知らない二人だけの秘密の場所にキッドはわくわくした。二人はよくどちらが多くの魚を釣れるか競走した。二人の魚を釣る上手さは同じくらいでお互いに勝ったり負けたりだった。それだけでなく二人はかけっこも、水泳も、手先の器用さも、さらに言えば賢さもまったく一緒だった。勝負ごとになるといつも同じくらいの力になった。ほかの子だったら手加減をされたり一方的に負かされたりしていたが、そういうことがないのがキッドは嬉しかった。
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