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「あら、キッド。この前はありがとうね」
レプリカが現れてからよくこんなことが起こった。人から突然お礼を言われたりするのだ。今日だって、道を歩いていると近所のおばあさんからこの前のお礼にと言ってキャンディーを貰った。なんでもぼくがおばあさんの荷物を運ぶのを手伝ったらしかった。そんなことは全然覚えていなくてなんだか騙しているような気もしたが、おばあさんが言うことを聞かないので大人しく受け取ることにした。
この前もこんなことがあった。街まで母親の買い物について行った時、知らない女の人から挨拶をされたのだ。女の人は迷子になったその人の子供を以前ぼくに助けてもらったのだと言った。そんなことは絶対にないと思ったのだけれど、喜んでいる母親の手前、言い出すことができなかった。君のお母さんはぼくと誰かを勘違いをしているんだね―そう思って女の子の方に目を向けてみたが、女の子は恥ずかしがって母親の足に隠れて出てこなかった。別れた後になって振り向くと女の子は小さく手を振っていた。
絶対におかしい。キッドの頭にはすでにある予想が思い浮かんでいた。
「これ、あげるよ」
「ありがとう。でも本当に貰ってもいいの?」
突然差し出されたキャンディーにレプリカは不思議そうな顔をしていた。
「いいんだ。これは君が助けてあげたおばあさんがくれたものなんだから」
キッドがそう言うとレプリカは納得がいったように頷いた。
「それにしても君は偉いんだね。最近、色んなところで君に間違われて感謝されるよ」
レプリカはキャンディーをポケットにしまって、笑いながら言った。
「そうかなあ?別にぼくはそんな風に思っていないけど」
「そんなことないさ。君はすごく良いことをしている。ぼくも見習わないとなあ」
「きっと君だって同じことをしたはずさ。だってぼくは君なんだもの」
照れ隠しするように笑っているレプリカの顔は、とても輝いているようにキッドには見えた。
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