第1章

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楽しい時間は駆け足で過ぎていく。 「ピンポーン」 幸せの時間の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。 「はい。」 「玲子よ、開けて!」 「お久しぶりです、夕貴です。どうぞお入りください。」 「夕貴ちゃん!今いくわ。」 玲子さんは高村くんの迎えだ。 付き合い始めて、玲子さんに会うのはこれが初めてだ。 見た目、背の高い綺麗な女性だけど、感情的になると太い声が出るのがたまに傷の彼女? 高校時代、高村くんと付き合ってるとき、玲子さんは私たちを応援してくれていた。 人前に出れるよう変装セットを用意してくれたのも玲子さんだ。 「夕貴、早く、こっちに来て。」 ベッドに座る高村くんが手を広げて待っている。 その胸に飛び込むと、膝の上に乗せられギュッと抱き締められ、唇を塞がれる。 玲子さんが玄関に到着するまで名残を惜しむように、長く優しいキスを交わした。 「ピンポーン」 「チェッ、もっとゆっくり来ればいいのに…」 不満げに呟いて、もう一度チュッと触れるだけのキスをして私をベッドに座らせた。 私も同じ気持ち。 幸せな時間が終わりを告げるように鳴ったチャイムに、胸がキュ―ンと締め付けられた。
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