お見合い二回戦 ~響かぬ太鼓編~

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 私は幼い時に目が悪かったので針治療をしてた事があり、その鍼灸の先生の教え子とお見合いをする事になった。一番驚いたのは『家族がこの先生とまだ繋がってた』事だった。  偶然なのかまた相手の人は四十七歳で、先生は『丁度いい年齢差』と言う。何がどうちょうど良いのか全く分からない。四十七歳の人は鍼灸の教え子で、太鼓のチームに入ってて、近くの少年野球のコーチをしながら、社会人野球チームもやってて、最近笛を始めたらしい。趣味が多すぎて毎日何かやっとるやないかい。まだ笛吹きますか。  先生が『めるさんはお茶を習ってる。近くにお茶の有名なお寺があるから行って来てはどうだろう』と提案。知ってる、そのお寺。半年に一回お茶会行ってる。お茶で有名なんだけど常にお茶の催し物してないし、普段はお寺だから、座禅体験やら写経体験やらそういうのをしているのも知っている。座禅体験も行ったから、と心の中でツッコミ。しかし『ずっと先生の家にいるのもね』という事でドライブへ。  この人、色んなチームに所属してるだけあって、間違いなく社交的なんだけど聞けば聞くほど『お見合いに興味ないが、先生の誘いを断りきれず会う事になったんだろな』と思えてきた。毎日、太鼓やら野球やら笛やらしてたら嫁に割いてる時間があるとは思えない。  寺に着く。そのまま帰るわけにも行かず、ちょっと境内に入ろうかどうするか相談したのだが、まあまあ寺に着くまで時間がかかってしまい、あと入山料五百円必要だと伝えると『うーん』な空気。奢って欲しいわけじゃないんだけど、なんで入山料は自腹なんだろう。食事は奢ってくれるのに。前の人もそうだったけどその辺の理由を教えてほしい。  乗り気じゃない様子なので『夕方までに帰ると先生に言ったので、ゆっくり帰りましょうか』と提案。私が。  前の人と比較すると、明らかに乗り気じゃないのが分かりやすくて笑える。これもしかしてと思ったら連絡先も聞いてこない。  打算的な私は、結婚して仕事を辞めたい。もしくは結婚してあわよくば事業所から手当っぽい物を貰いたいと思っていたので、相手の人に気に入られようと余計な事は聞かなかった。  道中のドライブは楽しくおしゃべりしたけど、ほんと具体的な話は一切なし。お互い具体的な話を避けようとしてる雰囲気を察知。お前らお見合いって何か分かってる?分かった上で避けてます。  先生の家に帰着。楽しくドライブしてきましたよ~と報告。相手の人『また会いましょう』って本当に言わなかった。え、それアリなの。
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