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「立花さんの部屋で頂くのよ。お願い。寂しいの」
さやかお嬢様の頼みごとを、私が断れるはずもありません。
こうして毎晩のように私の部屋へ遊びに来ては、他愛もない話に花を咲かせたり、お嬢様が気に入っていらっしゃるクラシック音楽に耳を傾けたりと、少なくとも私は随分と距離が縮まるのを感じておりました。
膨れ上がるお嬢様への愛。
揺さぶられるたびに、秘めている胸の内から溢れてしまいそうなほど、心奪われていったのです。
さやかお嬢様を私のものにしたい。知性のない身勝手極まりない言い方でしょうが、私はお嬢様を独り占めしたい想いから、彼女に対して過剰に尽くすようになりました。
私の存在なしにはいられないと、まるで暗示をかけるように。
何処へ行くのも何をするのも可能な限りお側で見守り、些細な要望から無理難題までお嬢様のご希望をすべて叶えてさしあげる。そんな風にして、欲望に歯止めをかけていたのです。
歪んだ愛情表現でしょうか。
こうして五年の歳月が過ぎ、お嬢様が成人を迎えた頃、私の心を打ち砕く出来事が起こったのです。
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