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マコが笑ったのを見て安心したので、俺はあっさり白状した。どうやら見たことを怒っているわけではないようだ。冷静に考えればそりゃそうだ。俺は刺青を見ただけだ。それで怒る奴はいないだろう。ただ俺が刺青を見た事を知らないと思っていたマコが、それを知っていたので俺は焦っただけなのだ。マコの顔は優しかったが、目は真剣そのものだった。
「何故、私がターカを助けたのかって訊いたよね?話さないつもりだったけど、話したくなっちゃった。聞いてくれる?」
なんだろうか。俺が思っているよりどうやら複雑な話らしい。俺は黙って頷いた。
「私、人の過去が見えるの。心も見える」
なるほどわかった。こいつは頭がおかしいのだ。もしくは自己顕示欲が超強い自称霊感あります女だ。俺はジトーっとした目でマコを見た。
「信じられないのはわかってる。待ってね。今証拠を見せる」
そう言うと、マコは目を閉じてスゥーっと深呼吸した。眼球が動いている。何かをまぶたの裏で必死に観ようとしてる感じだ。はっきり言って全然信じてないが、あまりに真剣なので俺は何も言えなかった。マコがゆっくり口を開いた。
「ターカは最近大事にしていた物をなくした。カバンの中を調べてみて。必ず見つかる」
んん…?もうすっかり諦めていたが、確かになくし物はした。だがカバンの中は散々探したのだ。俺はベッドから出ると、部屋の電気をつけた。半信半疑でカバンを取りに行き、マコの前でカバンの中身をぶち撒けた。マコはベッドに腰掛けたままこっちを見ていた。
少し期待はしたが、俺がなくした物はやはりなかった。
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