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第一章 マコとの出会い
【ドレスを着たキャバ嬢風の女】
一人暮らしにはまだまだ慣れないが、実家にいるよりも居心地はいい。19歳の始めに実家を出て以来一度も家には帰っていない。自分の家族が好きになれなかった。連絡も一度も取っていない。家族からしたら失踪だ。実家にいた時に就職した美容室はそうそうに辞め、パチンコ店で夜勤のバイトをしながら一人暮らしを始めた。更に携帯番号も変え、万が一知らない番号から電話がかかってきた場合も出ることはなかった。後から聞いた話だが、どうやら就職先に家族が訪ねて来たことがあったらしい。当然と言えば当然。しかし、家族がそれ以上俺の所在を探っている様子はなかった。
俺は家族とか愛とかクサイ物に飢えていたのだろう。家族とか愛は自分が最も嫌いな言葉でもある。いい思い出なんて一つもないのだから当たり前かも知れない。
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