第一章 マコとの出会い

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それを聞いてキャバ嬢風の女はしばらく困った顔をした。 「ちょっと待ってて」 もう返事をする元気もない。 しばらくすると俺の前にタクシーが停まった。 「乗ってください!」  俺は言われるがまま女に抱えられてタクシーに乗った。変な女だな。普通初対面の男をいきなりタクシーに乗せるか?俺の思考はこの女への感謝というよりは親切過ぎる女に疑念を抱いていた。訊きたいことは山ほどあったが、しゃべる元気がない。女は心配そうにこちらを見ている。…ただのお人好しかな。  タクシーは10分くらい走ると高層マンションの前に停まった。そういえば俺は自分の家の場所を伝えていない。 ぼーっとしていて女が運転手に伝えた行き先も聞いていなかった。てっきり自分の家までタクシーで送ってもらえると思っていたが、違うようだった。 「ここは?」 かすれた声で俺が訊く。 「私の家です。さあ付いて来て。歩けます?」     
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