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うーん…キャバ嬢をしてるくらいだから、酔いつぶれて道端で寝てる奴を見るくらいは日常茶飯事だろう。まさか倒れている全員に声をかけて回っているのだろうか。いやいや、そんな事してたらキリがない。俺でさえ、酔い潰れている奴なんてごまんと見た。その全員に声をかけたとすると重労働過ぎる。もっとプラスに考えよう。俺の顔がタイプだったのだ。そうに違いない。顔がタイプなら助けるよな。うんうん!…いや、多分違うな。
俺の倒れ方が酔い潰れているのとは違って見えたのかな。現にマコは最初にお酒じゃないですよね?と訊いてきた。ここらへんが現実的。などと考えているとガチャッとドアが開いた。
長い髪の毛の水分をタオルで吸い取るようにして、部屋着に着替えたマコがリビングに入って来た。髪に非常に気を遣っているようだ。 俺のようにガシガシとタオルで横着に拭く感じではない。普段俺はガス代節約の為に水風呂に入っていた。うらやましい。俺も温かい風呂に入りたいなぁ。その後はフカフカのベッドで眠るのだ。ああ夢のようだ。
「ターカもお風呂入ってきたら?」
なんであなたはそんなに親切なんですか?
「入ります!入ります!スグにでも!」
今日の俺はすごくツイているような気がする。
「部屋着、用意しとくから入っといて」
マコの言葉の意味を俺はしばらく考えた。…泊まれって事なのか?
「そ、それは泊まって行きなさいと云うことでしょうか?」
何故か敬語になる。
「そうだよ」
マコが笑っている。俺は思った。飯が食えて、風呂に入れて、泊まれる上にヤれると。
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