クリーニング屋の探偵

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 「まだ、話しませんか?この子は外に出たがっているのではありませんか?このマンションに住む住人から玄関の方で何度も鳴いているのを聞いている人がいます。これ以上黙っていてもあなた達にいいことはありませんよ」  宮園はさらに畳みかけた。 「なぜ、首輪のついている猫をわざわざ連れて行ったんですか?飼い猫なのは一目瞭然でしょう?」  「それは、わかっています。ですが、」  また、彼女は黙ってしまった。また、沈黙が支配したが彼女は意を決したのかぽつりぽつりと話し出した。  「実は、夫があちこちを転々としていて息子も何度も転校を繰り返すせいで学校では友達を作らずにいて上手くいっていないようですし、私もあまり近所付き合いが上手く出来なくなってきて。そんな時に猫を見かけて、飼い猫なのは首輪が付いていてわかっていたのですが、息子も喜んでいて、それで」  その先は宮園が引き継ぎ  「猫を連れて帰ってしまったと」  「すみませんでした。本当に間が差してしまったんです」  大和が宮園の方にすり寄ってきた。宮園は、大和をなでながら彼女に対して  「飼い主さんのところに一緒に謝りに行きましょうか」  彼女は小さく頷いた。そして、マンションを二人して出て飼い主のおばあちゃんの所に向かった。  買い物に行こうとしていたのか玄関に丁度おばあちゃんの姿が見えた。宮園はおばあちゃんに声を掛けた。  「おばあちゃん!」  おばあちゃんは後ろを振り向き  「あら、拓朗君どうしたの?それにそちらの方は?」  おばあちゃんにそう言われ宮園は彼女の方に目を向けた。  「あの、この子」  そう言い彼女は大和を前に出した。  「大和じゃないの!」  おばあちゃんは目を見開き驚いていた。  「にゃ~」  猫も間延びした声で鳴いた。  「あの、すいませんでした。実は、おばあちゃんの猫を私が連れて行ってしまったんです」  彼女はおばあちゃんに謝罪した。  「そうだったのかい?まあ、でも、無事でよかったよ。それに、何か事情でもあったんだろう?」  おばあちゃんは彼女にそう言った。彼女はおばあちゃんのその対応に怒られるだろうと予想していたのに予想に反して怒られずしかも、何か理由があったんだろうと?そう言われ困惑してしまっていた。
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