クリーニング屋の探偵

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「そこで、話は変わりますが何かお手伝い出来ることがあればしますよ。ここまで知ってしまったら報告するわけにもいかないですしね」 「え、いや悪いですよ」 「そうですよ」 二人とも遠慮気味に答えていた。 「気にしないでくださいちゃんと金はいただきますので、それに、よく知り合いたちにお人好しやらお節介焼きなどと言われているので心配しなくていいです」 「そこはちゃんとしているんですね。はぁ、わかりました。それならお願いします」 これ以上何を言っても無駄と思ったのかどこか諦めたような顔をしながら手伝うことを了承する深谷だった。 「それで、なにを悩んでいたんですか?」 「実は、プロポーズする場所は決まっているんです。けど、どうやって彼女をその場所に呼ぼうかと思いまして。彼女に手伝ってもらおうかとも思って相談に乗ってもらったんですけど」 「あたしこういうの苦手でさ。玖瑠実ってかなり鋭くてさ大体察しちゃうんだよねぇ」 どうやら女性のほうは嘘をつくのは苦手なようだ。 「へぇ、そんなに鋭いんですか。なら、連絡を取るのはこちらでやりましょうか?仕事について報告もしないといけませんから。後はいろいろ理由を付けて藤江さんをプロポーズ場所に私が呼び出せばいい」 二人は目が点になってしまっていた。 「どうかしましたか?依頼人とは連絡は取り合わないといけませんから連絡先は交換しています。彼女も報告を早く聞きたがっているでしょうから。多少強引な理由でも来てくれると思いますよ」 「確かに探偵さんから呼び出してもらえば怪しまれることはないかもしれない」 「確かにそれしかなさそうだね。玖瑠実はかなり宗太君の心配をしているみたいだから来てくれる可能性が高い」 「それで、たしかプロポーズをする日は明後日でしたっけ?」 「ええ、そうです。いつも彼女の方から僕の誕生日とかにサプライズをして驚かせて来るんですけどこっちはあまりサプライズとかは成功していないんです。どうしてもどこかでばれるんですよ。だから、今回は絶対にバレるわけにはいかないんです」 深谷の目には絶対に失敗しないという覚悟が現れている。
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