【試し読み】不惑女子はティータイムの後で

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※本当に会えるのだろうか、不穏  明後日の土曜日会いませんか? と大変急なお申し出だったので、私はその日空いていたが「用事がある」と断った。   行ったら何か不思議な品物の契約話でもされるのではないかと妄想全開になったため冷却期間が必要です。メールはとても普通で「体調がすぐれなくて」と言った私に「大丈夫ですか?」と人間として接してくれているのだが、元気になったら会いましょうとかどうしても会おうとしてくる。病弱キャラでの回避は無理ですか~、無理なのですか~。上村さんは甘いものが食べたいらしくパンケーキを食べたいらしい。本当だろうか……若い子(若いと言っても三十九歳)に合わせてらっしゃるのでは。初めて会う人とカフェでパンケーキを食べながら会話って更にハードル高くない? 人が多い駅で昼間に会う話だったので観念して会う事にした。サイトにアクセスしてメールボックスを開ける方式だったので、会うなら連絡先が必要だろうと普通のメールアドレス書いたけどスルー。えっ、当日何かあったらどうするの? (不審ポイント)私のプロフィール写真が本当かどうか、遠くからチェックされてから会うのかしら。  私の方が不利な気がして仕方がない。そんなすぐには連絡先など教えませんよって事かも知れないけど、待ち合わせとしてそれどうなの。しかし私はそんな事「些細なこと」として見て見ぬふりする事にした。相当キテル。 ※背後に絶対立たせない、スパイなのですか?  十月、人が多い駅での待ち合わせだったので了承したけど、吹きさらしの野外。もうちょっと風を避けられる場所では駄目だったのか。会うと約束した以上、遅刻してはいけないと早めに家を出て、待ち合わせ時間までの時間は「本当に会って良いのだろうか」という反省時間。メールを見るためにわざわざサイトにアクセスしないといけないから、些細なことなのだけれども面倒くさい。時間になり、待ち合わせ場所へ。四十九歳の方だからきっと落ち着いた雰囲気の方だろうと探す……多分あの人だ。面接じゃないからキチッとした恰好をしてきてくださいとは言わないけど、キャップとブルゾンは普段着の中でも「親しい人と会う時」の部類では。キャップだけとか、ブルゾンだけとかどっちかだけだったら気にならなかったのに両方? 私は動揺を隠すのに必死。あと私の個人的な好みで申し訳ないのだが、背の高い人に憧れがあるのだけど、この方私と目線があまり変わらない。そんな事言い出したらきっと相手の人も「本当は好みと違うけど挑戦してみた」な部分はあるだろうし、とりあえず本来の目的であるパンケーキを食べに行くことにした。すると待ち合わせ場所から、どんどん移動するらしい。それなら屋内で待ち合わせすれば良かったのでは。エスカレーターを降りる時に、絶対私を先に乗せる。(不審ポイント)レディーファーストで「お先にどうぞ」風でもない。私を背後に立たせない。なんだろう、キャップも装備、少し頭頂部の髪がさびしいのかしら。 (続きは『不惑wakuwaku』にて掲載。全体6400文字)
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