引っ越し

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「お姉ちゃん僕にんじんたべれない」 櫂がフォークでついたあと皿の端に のこした。 櫂はにんじんがにがて。 オレンジはすきだけどみためとか こわいらしい。 「にんじんも栄養豊富なんだよ、 ちゃんと食べなきゃ。」 大人用のフォークで突き刺しなおした あと、櫂の口へ運ぶ。 ん~と口を噤んでいやがる 櫂。 「食べなきゃ頭良くならないよ。 消防士か宇宙センターで働きたいん でしょ。」 それでも櫂は首を振って 頭をもうふのなかにしずませた。 亀がくびをひっこむみたいに。 「櫂くん、初子ちゃんとは どうなの。」 初子とは櫂の同級生であり 友達でもある。 が、櫂はだんだん意識してきて 取られそうになったとき自覚した みたいだ。 櫂は毛布から瞳を半周させて 灯をみた。 にんじんと関係あるの という風に。 櫂は小学2年、 灯は中学1年。 年は離れてるし 体の大きさもちがう。 「たべられないとかかっこわるいよ! 褒められたいでしょ?はつねちゃんに!」 …と考える櫂。
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