やっぱりコタツは偉大な発明です

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 使い方は簡単だ。  リビングの床にポンと置くだけ。  あとは、チュートリアルに従って操作ウィンドウに入力すると、掘りごたつのような空間が出現する。  だが、慌てなくても大丈夫! リビングの床は傷一つ付いていない。  なぜなら、位相の違う空間を出現させたから……らしい。  机本体のサイズは変えられないが、中の空間は自由に弄れるようになっている。横方向はキングサイズベッドくらいまで、下方向には大人の腰高くらいまで拡張出来る。縦方向にあまり拡張できないのは、落下事故防止の為らしい。ただし、ぶつかっても痛くない。低反発素材に似たポヨンとした感触で、とても快適だ。  そんな快適空間を、それぞれの個人用として家族の人数分登録出来る。位相が少しずつずらされているので、座標が同じでも他の人と足がぶつかる事も無いし、一人だけ温度を高めに設定するという事も出来る。  難があるとすれば、別空間の人の姿が見えなくなる事だろう。コタツ布団に触っている辺りはかろうじて見えているが、その先はすぐに粒子が薄くなり透明になってしまう。そして全身潜り込むと、姿が完全に見えなくなる。  自分専用の空間なら、コタツの中でも普通に自分の姿が見えるので、位相空間というのは、本当に全く別の空間なのだなと感じる瞬間だ。幽霊に触っちゃった! って感じに、半透明の映像が重なってくれれば分かりやすいんだけど、そう上手くはいかないようだ。これだけは慣れるしかないのだろう。空間はさほど広くないし、操作ウィンドウには存在が表示されるので、今のところトラブルは起きていない。  コタツ布団をめくったら冷たい空気が入っちゃう、という事が無くなったのに、いまだに薄いコタツ布団がセットされているのはこれが理由だ。コタツ布団が無ければ、リビングに生首がごろごろ転がっている、というスプラッタな光景になってしまう。  そして案外ここが重要かもしれない。ちょっとお高いが、冬のボーナスで購入可能だ。  さらに…………いや、止めておこう。新型コタツのスペックは、ちょとやそっとでは語り尽くせない。  ま、要するに。  コタツの中で足がぶつかってバトル勃発! なーんて事は、もはや過去の遺物になったのだ。
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