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「見ているくらいなら…殺せ…」
警備兵達の兵舎の奥、壁の一角に鎖で吊るされた黒髪の少女は表情硬く、こちらに言い放つ。軍曹は大いに戸惑いながらも、とりあえず拘束解除の道具を探しに走る。ガンタイと
ビクトールが中佐と警備兵達を一か所に集め、拘束している間に他の20名程の囚人兵達は
(反乱の際に負傷者が出ないのは奇跡的だった。)使える武器、食料、水の確保に準備と
探索を行っていた。連れてこられてから吹雪の外でテント生活を強いられていた彼等
としては、暖かい兵舎で一休み兼、使えるモノを探す事が一番の目標となっていた。その
部屋の一室で、軍曹は彼女を見つけた。近くに置いてある鍵で、鎖の拘束を解きながら、
話しかける。まさか解いた途端に噛みつかれるという事はないだろう。
「落ち着けって、兄弟。いや、兄弟じゃないな…おねーさん。俺達もご同輩だ。この服装を見ろよ!アンタと着てるもん同じだろう?たった今、この基地を制圧した。逃げるなり、
なんなり自由にしようぜ?なぁっ…名前は?」
「……ノナ、所属は戦車兵…」
「ノナちゃ、さんね!了解。とりあえず仲間の所へ行こう。」
赤く跡の残った腕をさすりながら、こちらを見る長髪、黒髪の少女。およそ戦車兵には
見えない。あながち中佐の言った世界の変容ってのは間違いじゃなさそうだ。こちらに続くノナを、チラチラ盗み見しながら、考えた軍曹は部屋に着き、銃器の点検をするガンタイ達に説明と紹介を行う。話途中で勢いよく頬を張られる軍曹。
「てめっ、軍曹!この野郎!」
「痛ったぁ…ガンタイ。なんだよ?この仕打ちは!」
「こんのっボケがぁ!あんだけ容姿もスタイルも合格点バディな子が磔プレイ中だったら、
固定状態で色々出来ただろうがぁっ!何で拘束を解く前に呼ばねぇ?」
「確認するけど、ガンタイさんは女だよな?何でエロ本に出てきそうなオッサンの考えが浮かんじゃうんだよ?いや、確かに同人的にはありだけどね。今はね。」
「“今は”って何だよ!いつだってマジだろう。アタシ等はよぉ!」
「でけぇ声で喋んじゃねぇ。ガンタイ。ノナがすっごい訝し気にこっち見てる
だろうがぁっ!」
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