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「うん、でもいい子だよ。芯がしっかりしてるっていうか」
そう言ってラーメンをすすった。少し味が濃い。
「そっか、いい友達が出来たようで何よりだ。その中村さんとは何して遊んでるんだ?」
「前は一緒に帰ってただけだけど最近は昔遊びしてるかな?」
「ほう、どんな?」
父さんは目を輝かせ、身を乗り出した。僕は中村さんとどんな遊びをしているのか父さんに聞かせる。父さんは懐かしそうな顔をする。
「父さんも昔よくやったなぁ……。べーゴマなんて負け知らずだった」
「本当!?」
僕は思わず身を乗り出した。
「あぁ、本当だ」
「今度教えてよ、中村さんに1度も勝てなくて……」
「今度やろう、休みの時に買いに行くか」
「うん、絶対だよ」
「はいはい」
この後僕と父さんは昔遊びの話に花を咲かせた。
ふと時計を見ると10時を回ろうとしていた。
「もうこんな時間か……」
父さんは名残惜しそうに時計を見た。
「帰ろうか。父さんも明日はお仕事でしょ?」
「そうだな、帰るか」
僕らは並んで歩いて帰った。
数年ぶりに父さんと歩くのはどこか照れくさく、それでも嬉しいものがあった。
家に帰ると母さんは気まずそうな顔をした。
「孝汰、さっきはごめんね……。お母さんが悪かったわ」
「別にもういいよ。風呂入って寝るから、それじゃ」
僕は自室から着替えを取り出すと、風呂に入って寝た。
翌日、母さんはまだ気まずそうにしていた。僕はその事については何も言わず、普通に接した。
学校へ行き、いつものつまらない時間を過ごしてからいつも通り中村さんと一緒に遊んで帰る。
「じゃあね」
「バイバイ」
いつも通り僕の自宅前で別れ、家に入る。
「ねぇ孝汰、ちょっと……」
自室に荷物を置きに行こうとすると、母さんが声をかけてきた。
「荷物置いてからでいい?」
「じゃあ荷物置いたら台所に来てちょうだい」
「分かったー」
僕は自室に荷物を置くと、台所へ向かった。
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