中村さんと僕と

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「わぁ、すごいすごい!お母さんにありがとうって言っておいて」 「うん、言っとくよ。それとね、これ」 僕はインスタントラーメンを中村さんの前に出す。 「こういうやつの5食入りってあるでしょ?それもいいんじゃないかって……」 「母さんが言ってた」と言おうとしてやめた。あんまり言ってマザコンに思われるのが嫌だからだ。 「いいね、さっそくやってみようか」 中村さんはガスコンロを引っ張り出した。僕は土鍋に水を入れに行った。 土鍋を置いて火をつける。沸騰してきたところで乾麺をいれ、よくほぐす。 「なんかさ、楽しいね」 「そうだね」 僕らは顔を見合わせて笑った。 麺が茹だったところで粉末スープを入れてよく混ぜて完成。 とりわけ皿に分けた。 「では、実食。いただきます」 「いただきます」 僕らは手を合わせて食べ始める。 麺を啜れば食べ慣れた味がする。慣れた味だけどこうしてこっそりふたりで食べるのはまた格別な気がした。 「うん、美味しい」 「今度いくつか買い揃えようか」 「うん」 どうやら中村さんも気に入ってくれたらしい。 それからいかに安く美味しく鍋やラーメンを食べられるか話し合った。 出てきた案としては、カット野菜は安いとか、ポイントカードの有効活用。 それとプレミアムウィーク。僕らがお小遣いを貰える日はバラバラで、僕が25日で中村が10日。 お小遣いを貰ったら、貰った人が卵6個入りを買って一週間でそれを使い切ろうという話になった。 使い方としてはラーメンに1個、鍋に2個となった。 「楽しみだね」 「うん、はやく月曜日にならないかな」 間もなく下校時間の放送が聞こえ、僕らは急いで片付けをして帰った。
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