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昼休み、いつもの様に自分の席でひとりで昼食を食べていると、耳障りな声が聞こえた。
「ねぇ、中村ちゃん。山田くんと付き合ってないってマジぃ?毎日仲良さげに帰ってんじゃん」
高校生デビューしたコギャル達が中村さんに絡んでいる。
やれやれ、僕が怒鳴ってろくに答えなかったから今度は中村さんか……。
助けに行きたかったけどそんな勇気、僕は持ち合わせていない。せいぜい彼女達がさっさと中村さんから離れることを祈るばかりだ。
「帰り道が一緒だから一緒に帰ってるだけだよ?」
「えー、おかしくね?」
「実際山田くんのこと好きっしょ?」
「告っちゃえよー。てかヤっちゃえー」
コギャル達はケラケラと笑った。本当に腹が立つ。
「そういう意味では好きでも嫌いでも無い。友達としては好きだけど。私あなた達みたいに好きでもない男子誑かして股開いて大人になったなんて勘違いしないから。男女の友情だってあるんだよ?そもそも今までまったく口を聞いてこなかった他人の癖に話しかけないでくれる?」
中村さんがスラスラと無感情に言うと、まるでコギャル達なんていないかのようにいつも通りに昼食を始めた。
コギャル達はぶつくさ何か言いながら自分達の席に戻る。
こんな腹立たしい事件を起こしながら今日が終わり、中村さんは僕を誘いに来る。
「一緒に帰ろ」
「うん」
カバンを持ってふたりで学校を出た。
「今日は災難だったね、お互い」
中村さんはうんざりしたと言わんばかりにため息をつきながら言った。
「そうだね。でも中村さんが言い返したの見た時は清々したな」
「私も、山田くんが怒鳴った時は清々したよ?」
「いや、あれは……」
その時はびっくりした程度だが、今になると恥ずかしい。
「なんでみんな高校生になると恋とセックスの事しか考えられなくなるんだろうね?」
「セッ……、えぇ!?」
彼女の口から似合わぬ言葉が出てきて思わず間抜けな声を出した。
「中学生の頃はさ、みんな淡い初恋とかそういう話だったのに高校生になった途端これ。性的な事を言うのが大人とかカッコいいとか勘違いして……。見てるこっちが恥ずかしい。そう思わない?私だけ?」
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