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「ねえ、暁水・・・、
俺が先生になってしまう前に・・・、」
「・・・うん?」
水清が一歩近づいて、暁水の体に当たってしまいそうだ。
暁水が、その近さにうろたえていると、
「ちょっとだけ、悪いこと、しようか?」
って、水清が眼鏡のを外して微笑んだ。
その顔をみて、こねこは、うあって驚いた。
あの、大人で大人で、とても追いつけない存在の水清が、
まるで、いたずらをする少年みたいに笑ってる!
“水清って、こんな顔するんだ・・・?!”
初めて見る表情。
その素敵さに心臓はずきゅ、とやられてしまうし、意識は一層ふあっとなって、暁水の頭の中は大混乱の渦だったけど、
”水清の恋人は、水清のこんな表情をいつも見るのかな・・・。”って飛んできそうな意識の中で、ふうっと、浮かんだ。
でも、それはほんの一瞬のこと。
だって、水清にそう言われた次の瞬間、
暁水のうすももいろの唇に、
水清の形の良い唇が、
ふわっと
触れたんだもの。
「・・・あ」
って、
暁水の体がびくんと飛び跳ねて驚いてると、水清の大きな手のひらが暁水のほっぺを包んだ。
そうすると、軽く当たって離れていこうとした水清の唇が、もう一度戻ってきて、
まるで、甘い言葉を伝えるみたいに、今度はゆっくりと触れてくれた。
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