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水清の体温が唇に伝わってくる。
「・・・あ・・・あ、
みず・・き・・・」
暁水は、もう胸がいっぱいで、言葉が出なくなってしまってた。
顔を上げて、水清をみつめようとしたけれど、
どんどん、瞳に涙が溜まってきて、
どんどん見えなくなる。
けど、
なんとか解ったんだよ。
水清は暁水のこと、
熱っぽいような優しい目でみつめててくれて、
ずうっと長い間、
暁水が聴きたかった言葉を形作ろうとして、
水清の唇が、
今にも動き始めようとしてたってことを!
懐いて、ひたむきに自分を追ってくる仔猫を
抱き締めずにいられるひとなんか、いるのかな。
めだか達はいつもと変わらず、
水槽の中を
遊びながら気ままに泳いでいたのだけど。
*** end ***
”仔猫と水槽”
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