NO SURPRISES

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NO SURPRISES

 毎日が平凡だと思っていた。  今日もなんの変哲もない一日だった。深夜のバイトを終え、自宅へ帰ってあとは眠るだけだ。  特にずば抜けた能力もなく、やりたいこともない俺はきっと一生このままだ。  平凡に生きて平凡に死ぬだけ。  それを悲しいだとか虚しいだとか感じるようならまだ救いようがある。  俺は感じない。  悲しくない。虚しくない。  平凡でいい。  そう思っていたのに、目の前には日常からかけ離れた物体が転がっている。  道の真ん中に人が倒れていた。膝を折って前のめりに倒れている。覗きこむと、その人物は血溜まりの中に体を浸していた。  咄嗟に身を退いた。死んでいるのだろうか。  一度周囲を確認した。これは殺人だ。まだ近くに犯人がいるかもしれない。  しかし人の気配はしない。朝の四時。人は勿論、犬や猫の類でさえ姿を隠している。 「あの」  声をかけてみた。倒れたまま動かない。  死んでいるように見えた。多分死んでいる。それなら救急車を呼ぶよりも警察に電話をしたほうがよさそうだ。  携帯を取り出して110番を押す。生まれて初めての110番だった。電話はすぐに繋がった。 「人が倒れてるんです。もしかして死んでるかも」     
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