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「混乱しているらしいな。とにかく、君はどこか怪我でもしているのかい? その、ここ以外に」
彼は自分のこめかみを人差し指でちょんちょんと突いた。
頭がイカレていると言いたいのか、それともこめかみのコブのことか。後者ということにしておこう。
「いえ、別に大丈夫です。何故ですか?」
アンソニーはあたしの寝巻きを指差す。水色の寝巻きの胸元に、イチゴの汁が点々と血飛沫のように付着していた。
「ああ、これは血ではありません。イチゴです。イチゴの汁」
保安官の顔色が急変する。
しまった。迂闊にも口を滑らせてしまった。
イチゴを盗んだことを自白しているようなものだ。
「あの、実は……」
「食べたのか? 君は」アンソニーが遮った。
「食べてしまったのか? 村外れの特約農家の、あの真っ赤なイチゴを」
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