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結局、歌は歌わないまま1時間30分も経過していた。
「わ!あと30分しかない!結構あっという間だねー・・・」
『そうだね。でもそんな風に名残惜しそうに言われたら、ちょっと期待しちゃうなー。』
そんなことを言いながらケイタくんは急に向き直ってグッと見つめてきた。
恥ずかしくて恥ずかしくて、思わず視線を逸らした。
『なんで目逸らすのー!』
笑ったような、悲しいような、無邪気な声でケイタくんが問いかけてくる。
「いやぁ・・・なんか恥ずかしいじゃん。」
『ふーん…。照れてるんだ?』
今度はいたずらっぽく笑うケイタくん。
「そんなことないよ!ホラ!べつに見れるし!」
もう一度向き直って見つめ返してみたけど、やっぱり恥ずかしくて、目を逸らしてしまった。
『なんでーほら、こっち見てよー』
メールでよく見たような、甘えた様子で問いかけてきた。
「あとでね(笑)」
そう言って残った飲み物を飲み干したら、ふいにポンっと頭を触られた。
思わずビクッとする。
「な、なに・・・?」
『いやぁ…髪、綺麗だなぁと思って。』
「そうかな…?ありがとう。」
自分の心臓の音が、会う前のようにドクンと激しく跳ねていることがわかった。
「・・・なんの沈黙よ(笑)」
問いかけたらケイタくんはクスっと笑って
『可愛いね、バツが悪くなると笑ってごまかす。(笑)』
それがまた猛烈に恥ずかしくて、下を向いた。
『あぁ!また下向くー!意地悪言ってごめんね?そうだ、ハナちゃん、ゲームをしよう。』
「ゲーム?」
『うん、10秒間俺から目を逸らさずにいられたら、ハナちゃんの勝ち。そうだなぁ、ハナちゃんの好きなキャラクターのグッズ一つ買ってあげるよ♪』
「本当に?!ちょうど欲しいのがある!・・・。でも、負けたら?私が何か買ってあげるの?」
『俺が今欲しいのはハナちゃんだよ。』
激しくドクンと跳ねる心臓。
『だからね、もしハナちゃんが目を逸らした瞬間、俺は多分ハナちゃんにキスをするよ。』
またもいたずらっぽく笑うケイタくん。
『どうする?嫌だったらもちろんゲームはしないよ。』
「…嫌じゃない。し、そもそも勝つから問題ない。(笑)」
『そう(笑)じゃあ、こっちにおいで?』
向き直って座って、ケイタくんが声をかける。
『はい、じゃあ・・・よーい、スタート』
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