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『あ!そうだ。はい、コレ』
顔の前に白い何かが差し出された。
「あぁ!!取れたの!?」
『そうー、頑張ったんだー。褒めて褒めて笑 ハナちゃんにあげるね♪』
「いいの??嬉しい…ありがとう!」
ニコニコと大好きなキャラクターを抱きかかえると、クスッとケイタくんの笑い声がした。
『(笑)ハナちゃん子供みたいだなー。』
しまった、忘れてた。メールでは基本的にクールぶって大人っぽく振舞ってたんだ…
『黙らないでよ(笑)ギャップがあってかわいいよ』
少し子供扱いされた気がするけど、"かわいい"という言葉が素直に嬉しかった。
「ありがとう。てか、これから何するの?カフェとか行く?」
『うーん、そうだねぇ。カフェだとガヤガヤしてるし、できれば二人きりでゆっくり話せるとこがいいんだけど…』
(二人きり・・・)
ドキッとした。それはときめきの類ではなく、警戒心として。
もしかしてヤリメだったのかな…。
一瞬そんなことを考えて黙っていたら
『そんな不安そうにしないでよ』
ケイタくんが苦笑しながら切なそうに吐き出した言葉がぐさっと刺さった。
「そういうわけではないんだけど…!緊張しちゃって^^;」
慌てて取り繕った。
『そうだなぁ。じゃあ、カラオケは?』
「カラオケ?」(完全に個室じゃん…)
『そう、カラオケなら防犯カメラもあるし、変なことできないようにドアに絶対ガラスが入ってて、廊下から見えるようになってるから。』
「へ?そうなんだ!それなら安心かも、じゃあカラオケに行こう。」
『あ!やっぱ警戒してたんじゃん!笑』
二人で笑い合い、近くのカラオケを目指して歩いた。
・・・
ただそれだけの話なのに、なぜか当時は物知りな大人な印象と、誠実な印象を持った。
・・・
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