第三章 交叉

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「ただいま、何読んでるの?」 リートがバイトから戻って来た。 俺は本を差し出す。 「八傑将かぁ、良い話だよね」 「良く言えば王道、ひねくれて言うと在り来たり、何処にでもある騎士物語」 「それが良いんだよ、ボクはこういった分かりやすい話が好き」 「世の中が勧善懲悪ばかりとは限らないけどな」 俺は、別の本を手に取る。 「そういえば、お前は実家に帰らないのか?」 「あの領主の住む国よりここが落ち着くんだ、それにキミもいるし」 「俺にそんな趣味は無い」 俺は突き放すように言う、ふと顔を見ると、リートは頬を膨らました。 「それは失礼じゃないかな!」 「出会い頭に平民虐めをしていた取り巻きの言う台詞ではないな」 「それはもう忘れてよ!」 ーーそれから二週間も経つと、大抵の生徒は帰って来る。 テリーとティファはお土産と称して何故か木工細工を持って来た。 木材を扱う国として、木工職人が造る細工は高級品だと言う。 俺達は段々と距離を縮めていった。 他の部屋では未だに確執があるが、仲間として互いに認め、そして高めていく。 ーーーそして三年後、俺達の人生の分岐点へとたどり着いた。
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