第五章 遠征

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仕方なく、俺とメルヴィルだけで町へと赴いた。 「それで、何を怒っているんだ?」 「最近、素っ気ない」 「そうか?」 「恋人なんだから……もう少し構っても……」 つまり、メルヴィルとしてはもう少し恋人らしい事をしたいと思っている。 俺は学業が本分だと思い、今までのように接していたのが良くなかったのだろう。 「こうして一緒に歩くのは不満か?」 「フィン君から抱き締めて欲しい、あと君からキスも……」 「今度な」 そう言われて、俺は内心満更でもなかった。 しかし……そんな事をして、それ以上の関係になる事が恐い。 俺には一番難しい問題だ。 ーーー町に入る際に通行料を取られたが、俺はとある屋敷へと向かった。 それは以前、園遊会を行った屋敷ではなくもう一ヶ所、ガリアス家の屋敷だ。 俺は扉を叩いた。 「どちら様でしょう?」 「ガリアス家婦人の知り合いのフィン・アリアミストです」 「フィン?少しお待ちください」 家政婦と思われる女性は、一度屋敷の中へと戻って行った。 「大丈夫?ガリアス家って校長の……」 「俺のお母さんが居るから、話くらいは聞いてくれるだろ」 「お、お母さん!?」 暫くして、扉が開かれる。
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