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仕方なく、俺とメルヴィルだけで町へと赴いた。
「それで、何を怒っているんだ?」
「最近、素っ気ない」
「そうか?」
「恋人なんだから……もう少し構っても……」
つまり、メルヴィルとしてはもう少し恋人らしい事をしたいと思っている。
俺は学業が本分だと思い、今までのように接していたのが良くなかったのだろう。
「こうして一緒に歩くのは不満か?」
「フィン君から抱き締めて欲しい、あと君からキスも……」
「今度な」
そう言われて、俺は内心満更でもなかった。
しかし……そんな事をして、それ以上の関係になる事が恐い。
俺には一番難しい問題だ。
ーーー町に入る際に通行料を取られたが、俺はとある屋敷へと向かった。
それは以前、園遊会を行った屋敷ではなくもう一ヶ所、ガリアス家の屋敷だ。
俺は扉を叩いた。
「どちら様でしょう?」
「ガリアス家婦人の知り合いのフィン・アリアミストです」
「フィン?少しお待ちください」
家政婦と思われる女性は、一度屋敷の中へと戻って行った。
「大丈夫?ガリアス家って校長の……」
「俺のお母さんが居るから、話くらいは聞いてくれるだろ」
「お、お母さん!?」
暫くして、扉が開かれる。
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