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「さて、フラメルと言えばカトラット領で繁栄した町の子爵家だな?」
「あ、はい!私はフラメル家の次女です」
「子爵家とはいえ、平民との結婚は親がまず認めないだろうな」
「………そう思います」
「それでも、フィンが良いのか?」
メルヴィルは、胸に手を当てて言った。
「彼の事を考えると……胸が苦しいんです、魔物に教われて助けてくれた時……この気持ちはその時から変わりません」
「分からなくもない、その気持ちは恋人としてではなく、もっと深い関係になりたい、そう思ってしまうんだろう?」
「はい……」
「その想いをフィンに全て言うといい、例え同じ部屋で一夜を過ごしても誰にも咎める事は出来ない、本当に愛しているなら自分の意思に従うべきだ」
今夜、フィンと話をしよう。
メルヴィルはそう心に決めた。
「あの……一つ聞いていいですか?」
「私に答えられるなら」
「もしかして、お腹に子供が居ますか?」
メルヴィル自身も、何を言っているのか分からなかった。
しかし、何故かそう思ってしまった。
「よく判ったな、私はお腹が目立たないから気付かれ難いんだ」
「あの!耳を当ててもいいですか?」
「構わないぞ」
私は、カリサさんのお腹に耳を当てて目を瞑った。
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