第十章 脱出

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「関所だな」 ヘクターが言うと、俺は馬車を止めさせた。 白狼族も連れて行きたいが、魔族は未だに討伐対称とされている。 予定通りに、この平原で集落を作って暫くはここで暮らして貰う。 そして、別の大陸から来たオリヴィア達もどうなるのかさえ分からない。 「夜中に関所の無い場所から抜けるしかないな」 「それしか無いか」 白狼族とリーザ以外が関所破りを敢行する事となった。 関所を通らずに他領へと入る者も少くはない、しかしその道は危険であり、獰猛な獣や山賊、盗賊もいるような場所なので被害を受けても自己責任だ。 今日は獣も山賊も現れず、無事に領土へと入って行く事に成功した。 「運が良いぞ、ここは辺境伯の領土だ」 シルバーレオ辺境伯。 レイストリア大陸の三分の一を領国と持ち、数々の土地を開拓した領主だ。 元々一族は大商人であり、莫大な資金と大小問わず多くの人脈と一国に匹敵する護衛小隊を持つ『スカーレット』家は商人でありながら辺境伯という地位を受けた。 現在はトリスタンが当主であり、若いながらもその手腕は先代以上とも言われている。 俺達はフェルマ領へと向かって進んだ。
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