第三章 交叉

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平民は小袋で買う傾向が強い。 銀貨というのはまず高価で、小国の平民の給金が銀貨二、三十枚と考えて税金、衣類、家具、その他の出費、そして食費として使用される。 一般の食費は給料の二割とも言われている、この世界に換算すると銀貨四~六枚と考える。 主食の小麦粉、大袋で銀貨二枚、仮に肉を買うと肉塊が銀貨約一枚、更に野菜を買うと食費は次々と嵩む。 細々と加減して食べるには小袋サイズで様子を見ながら買うのが良いそうだ。 「小麦粉は我々の主食じゃからな、生きる為には必要な経費じゃ」 「あと食堂のパンが硬い、何処のパン屋も同じだけど」 「逆に儂は柔らかいパンなんぞ見たことも無い」 違いない、と言って二人で笑った。 すると突然、部屋に二人組が入って来た。 「おや、先客か」 「あっ、フィンだ」 そこに現れたのは、サファイアと短い髭を蓄えた老人だった。 「これはこれはオズロー様、今日はお孫さんと一緒でしたか」 「この時期は暇を持て余しているからな、それよりも、君はもしや今年の主席のフィンかね?」 「あ、はい」 「この若さで剣と魔法に長けていると聞いてる、ほう!これは……」 オズロー先生は、俺の回りを歩きながら監察するかのように見た。
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