第三章 交叉

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未踏の大陸。 レイストリア大陸の最北端に位置する国境の先に、険しい山道、過酷な道程が立ちはだかる。 危険な道だが、一番厄介なのは道ではない。 未踏の大陸は、魔物の巣窟なのだ。 この世界に魔物は殆ど存在しない、子供の頃はそう思っていた、なら何故辺境伯という前線を守る為にあるような爵位が存在するのか。 それは、魔物の侵入を防いでいるからに他ならない。 その魔物の中で一番危険なのはドラゴンだ。 普段は未踏の大陸内で特に侵攻等はしない、しかし稀に若いドラゴンが侵攻して襲うという事件は起きている。 ドラゴンの鱗は剣が刺さらず、しかも炎に強い。 極めつけはブレス、つまり火を吐いてくる。 こんな移動災厄は単体ではまず勝てない、しかも倒すにはかなりの兵力と犠牲が伴う、同時に大陸に魔物が少ないのは辺境伯のお陰でもある。 「あと、冒険者が未踏の大陸へ行った場合、殆ど死んでいるか逃げ帰っている」 「儂らも向こう側がどうなっているかは誰にも分からん」  その為、ギルドでは冒険者が後を絶たない。 大陸の向こうには何があるのか、その好奇心が人々を大陸へと駆り立てる。
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