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真っ暗闇の渦の中を通り抜けると、そこは辺り一面雪景色だった。吹雪の吹き荒れる中、私は今まで感じた事のないような寒さで思わず体が凍ってしまいそうになり、ぎゅっと体を抱えてうずくまった。
「何ここ・・・。私は、ただデートに来ただけなのに・・・。何でこんな目に会わなきゃいけないの?」
思い起こせば、私はそんなに拓也の事なんか好きじゃない。むしろ、冴えなくてオタクな拓也に付き合ってあげてるのだ。
そんな私が、何でこんな吹雪の中で凍えそうな思いをしないといけない訳?お腹も空いてきたし、早く美味しいご飯が食べたい・・・。
ふと空を見上げると、吹雪の中から一台の馬車がこちらに向かって走ってきた。何で?空から馬車が降ってくるの?もしかして、これって幻覚?
「姫様。乗ってください。ずっと探しておりました。こんな所にいては、凍え死んでしまいますよ。」と馬車に乗る若い男がニコッと笑った。
あれ?この男・・・。
どこかで見たような・・・?
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