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「さあ、ユリア姫様。シュメィプワールド城に戻りましょう。
王様もお妃様も、ずっと姫様の帰りを待っています。さあ、僕の手に捕まって!」
王様?お妃様?
拓也はずっと何を言っているの?私にはお父さんもお母さんもいるし、いつまでも拓也の妄想のデタラメワールドの付き合いばかりしてる暇も無いんだけど?
きっと、私は今悪い夢を見ているんだわ・・・。
「デタラメワールドでも構いませんけど、早く手に捕まって下さい。」
しまった。拓也は、私の心の中が読めるのね・・・。これじゃあ、私何も心の中で思う事が出来ないじゃない。心の中が読まれてしまうなんて、何て不便なの・・・。
「大丈夫です。僕の手は、姫様が思っている以上に便利ですから。」と言って、拓也は私の手をグイッと掴んだ。「きゃっ!」と私が悲鳴に近い言葉を発した途端、拓也は私の手を掴んで一気に上空に向かって飛び上がった。
「きゃーー!ちょ、ちょっと!何?あなた、もしかして空を飛べるの?」
「はい。僕が作り出したシュメィプワールドでは、僕自身は自由自在に空を飛ぶ事が出来ます。空を飛べるのは、この世界では僕だけです。」
「こ、怖いんだけど!今上空何メートルなの?」
「この世界では、具体的な事は考えなくて大丈夫です。
僕が妄想で作り出した、夢の世界ですから。何メートルだろうが、姫様が落ちて死ぬ事はありません。その時は、僕が救います。」
「そっか。あなたが作り出した世界・・・。あなた次第で、運命はいくらでも変えられるのね。あなたにとっては、便利なものね。」
拓也にとっては、なんて都合の良い世界なんだろう。人の心の中も読めて、自分の妄想で世界を創り出す事が出来るなんて。
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