まっすぐ歩けば、いいんじゃない?

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まっすぐ歩けば、いいんじゃない?

お久しぶりの娘日記です。 最後の更新から、一年半ほど経過したでしょうか。 肺がんと脳梗塞を患い闘病していたおじいちゃん(私の父)が、昨年の初夏に他界いたしました。 入院先から危篤の知らせを受けた時刻は丑三つ時(深夜の二時)。 熟睡中の娘をどうやって連れて行こうかと算段しかけた刹那、 娘「じいちゃん、どうした?」 驚異的な地獄耳と寝起きの良さを発揮! 私「じいちゃん、心臓が止まりそうだって」 娘「心臓が?」 私「死んじゃうかもって。病院へ行く?」 娘「行く!」 自閉症児の娘に遠回しな表現は通用しないためダイレクトに伝えたところ、二つ返事を寄越した数秒後にはテキパキと着替え始め。知らせを受けてから三十分後には自家用車で病院へ到着したものの、臨終には間に合いませんでした。 家族に会えず最期を迎えさせてしまった父への想いは、この場では割愛するとして。 ・コロナ禍による面会制限が、最期を迎えるひと月ほど前に緩和したこと。 ・孫娘の制服姿(同じ校舎内にある特別支援学校中学部へ進学しました)を目の前で見せてやれたこと。 ・亡くなる前日に娘の手からプレゼントを渡せたこと。 救いとなる出来事を反芻し、諸々なるようにしかならなかったんだ……と自分に言い聞かせ。驚くほど聞き分けよく傍にいてくれた娘と共に、父の亡骸を見送りました。 さて、前置きが長くなりましたが。 先日、授業参観へ行って参りました(唐突な切り出し)。 科目は音楽。コーラス曲としても有名なアンジェラ・アキさんの『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』の詞を読み解きながら歌う、という内容の学習でした。 『自分とは何でどこへ向かうべきか』という、悩み苦しむ思いで十五の僕が書いた一文を見た娘。 「まっすぐ歩けば、いいんじゃない?」 僕はどうすればいいのだろう? という担任先生からの問いかけに、誰かの模倣ではなく自己発信で感想を言えたことに成長を感じた一場面でした。 「ご存知でしたら、一緒に歌いましょう!」 歌詞を熟読した後、担任先生に促されて歌う『手紙』が胸に刺さりすぎた母(私)。 十五の自分が描いていた未来とは大きくかけ離れた今を生きる自分の不甲斐なさに泣きそうになりながら。 「まっすぐ歩けば、いいんじゃない?」と教えてくれる娘の成長を糧に。 今を生きていこう。 今を生きていこう。 (大事なことなので二度言いました)
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