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「ごめんね、責めているわけじゃないの」
きっと悠一くんなりに坂本先輩を想って起こした行動だったんでしょ?
どうして坂本先輩がきょうくんと私の写真を持っているのか、どうして彼が私の写真を見て悲しそうにしていたのか。気になることはたくさんある。
けれど今はきっと突然いなくなってしまった悠一くんを心配しているであろう、坂本先輩と保育園に早く連絡しないと。
「悠一くん、ちょっと待っててね」
バッグからスマホを取り出し、坂本先輩に電話を掛けようとした瞬間、スマホが鳴り出した。
びっくりしながらも電話の相手を確認すると坂本先輩で、急いで通話ボタンを押すと、電話越しからはいつになく切羽詰った彼の声が聞こえてきた。
『悪い、須藤。もしかしてお前今、五歳くらいの子供と一緒か?』
そして息つく間もなく尋ねてきた。
『会社戻ったら、お前が小さな男の子と一緒にいたって聞いて。……人違いだったら悪い』
彼の呼吸は乱れていて、走りながら電話してきている様子。
そんな彼に慌てて伝えた。
「あの、坂本先輩すみません! 私、今悠一くんと一緒にいます! ……坂本先輩の家に」
『…………俺の家に?』
予想外過ぎたのか一瞬間が空いた後、坂本先輩は驚きの声を上げた。
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