#13

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「はい。……その、悠一くんに連れてきてもらって……」 どうにか事の経緯を伝えると、電話越しから盛大な溜息が聞こえてきた。 『悪かった、今すぐ帰るからちょっと待っててくれ』 「え、あの坂本先輩っ……?」 一方的に言うと彼は電話を切ってしまった。 しばし呆然とスマホを眺めてしまっていると、悠一くんがビクビクしながら聞いてきた。 「さっきの電話、お兄ちゃん……? やっぱりお兄ちゃん、怒ってた?」 「あ……ううん、そんなことないよ」 ちゃんと悪いことしちゃったって自覚はあるんだね。 そんな彼が愛しく思えてしまい、慰めるようにそっと抱きしめた。 「でも坂本せんぱ……お兄ちゃん、すごく心配していたから、帰ってきたらちゃんと謝ろうね」 「……うん」 ギュッと私の腕を掴んでしがみついてきた悠一くん。 彼の背中を優しく撫でながら、さっきの坂本先輩からの電話を思い出してしまう。 坂本先輩驚いていたよね。 でも驚いているのは私の方だ。
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