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まさか坂本先輩に弟がいたなんて。
それに坂本先輩の家に、きょうくんと私の写真があるのはなぜ?
同一人物なのかもしれないけれど、すぐには信じることなどできない。
だって名前が違うじゃない。
私が仲良くしていたのは、あらいきょうくんだ。
坂本先輩じゃないはず。……じゃあどうして写真があるの?
混乱しながらも悠一くんを抱きしめ、坂本先輩の帰りを待っていると、外の方から階段を上がる音が聞こえてきたと思ったら、すぐに鍵が開き勢いよくドアが開いた。
「悠一!?」
そしてバタバタと肩を上下させながら部屋に入ってきたのは、坂本先輩だった。
「坂本先輩……」
呼吸は乱れていて、よほど慌てて帰ってきたのが見て取れる。
坂本先輩は私に抱きしめられている悠一くんを見ると、心底安心したのか大きく息を吐きしゃがみ込んでしまった。
「よかった、無事で……」
「お兄ちゃん……」
ずっと怯えていた悠一くんだったけれど、坂本先輩の姿に私から離れ、すぐに坂本先輩の元へ駈け寄った。
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