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突然厳しい口調で叱咤し始めた悠一くんに、坂本先輩は目をパチクリさせた。
「言っておくけど、お兄ちゃんの気持ち僕にはバレバレだからね。僕、知っているんだ。お兄ちゃんが毎日月菜ちゃんの写真見て、悲しそうにしているの。……でも写真を見るのは月菜ちゃんのことが好きだからでしょ?」
「なに言って……!」
慌て出した坂本先輩の腕から飛び降りると、悠一くんは私に抱き着いてきた。
「お兄ちゃん、いつも僕に話してくれたでしょ!? 月菜ちゃんはお兄ちゃんにとって大切な女の子なんだって。それって好きって意味でしょ? だったらちゃんと月菜ちゃんに言わないとだめだよ!」
ちょっと待って。
頭がついていけない。
悠一くんが言っていることは本当なの? 坂本先輩にとって私は大切な女の子……?
にわかには信じがたい話に悠一くんに抱き着かれたまま、坂本先輩を凝視してしまう。
すると彼の顔は次第に赤く染まっていき、私の視線から逃れるようにそっぽ向いてしまった。
意外な彼の姿に目を丸くさせてしまう。
やだ、なにそれ。
そんな態度取られてしまったら、嫌でも期待しちゃうじゃない。
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