#13

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もしかしたら悠一くんの話していることは全て本当で、坂本先輩は私のことを想ってくれているのかもしれないって。 このままじゃ自分のいいように自惚れてしまうよ。 トクントクンと胸が早鐘を鳴らす。 それでも坂本先輩から視線を逸らせずにいる中、悠一くんは可愛い行動に出た。 「お兄ちゃん、恥ずかしいなら僕しっかり耳を塞いでいるから! だから安心して月菜ちゃんに好きって言っていいよ! キッチンで耳塞いでいるから!」 「あ、おい悠一!?」 そう言うと悠一くんは両手で耳を塞いだまま、小走りでキッチンへ向かい、キッチンと部屋の仕切りのドアを閉めてしまった。 密室空間に取り残されてしまった私たち。 すると坂本先輩はバツが悪そうに頭を掻いた。 そして照れた様子で私を見据えた。 「写真……見たんだろ?」 タンスの上をチラッと見た坂本先輩に頷くと、彼は途端に身体中の力が抜けたかのように座り込んでしまった。 そしてそのまま顔を埋めてしまった彼に、ドキドキが増していく。 「坂本先輩……?」 彼の名前を呼びながら近づき、私も隣に腰を下ろすと、坂本先輩はポツリポツリと語り出した。
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